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冬の結露

2019.1.14
お金・設計・仕様

先日、年末年始の帰省の際に伝えてほしいこと

というブログにて、断熱性の低い戸建住宅の

冬の温度差についてお伝えしました。

 

今回は、その続き

結露について、詳しくお伝えしていきたいと思います。

こんにちは。三協建設 堀内です。

 

熱は高いところから、低いところに移動します。

断熱性の低い住宅は、断熱、つまり熱を断つ性能が低いため、

室内の熱を、寒い屋外に逃がしてしまっているということです。

 

そして、一番熱が逃げやすいのは

「開口部」です。

 

つまり、窓ですね。

 

冬場の夜間、外気温が0℃で

室温が20℃だったと仮定しましょう。

 

その差は20℃。

 

そして、その間を隔てるのが

窓ガラス1枚だったとしたら・・・

窓ガラス面では室温は

外気温近くまで一気に冷やされることになるのです。

 

さて。

結露について考えるときに

忘れてはいけないのは

「飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)」

です。

 

中学の理科で習いましたよね。

覚えていらっしゃいますか?

液体の水が気体になったものが水蒸気です。

水は私たちの目には見えなくても水蒸気として

空気中に含まれています。

 

1㎥の空間に存在できる水蒸気の質量を

gで表したものが「飽和水蒸気量」です。

(容積絶対湿度、飽和水蒸気密度ともいいます。)

 

この「飽和水蒸気量」は温度が低いと小さくなります。

 

気温が20℃ の時、飽和水蒸気量は17.2g/㎥

そして、

気温が 0℃ の時、飽和水蒸気量は 4.85g/㎥

となります。

 

窓ガラス1枚を隔てて、この温度の差があった場合

室温では水蒸気として存在していられた水が

窓ガラス付近で外気温近くまで一気に冷やされると

水滴という私たちの目に見える姿になって

窓ガラスにつく。

 

これが、結露の仕組みです。

 

気温が 0℃ で湿度100%でも

1㎥あたりの水分量は4.85gしかありません。

この水分量のまま、

気温を20℃ まで上げると

湿度は約28%になるということです。

 

「冬は乾燥する」といわれるのは

気温が低いため、大気中に含むことができる

水蒸気の量自体が減るからなのです。

 

「結露するってことは

湿度が高いってことだから

加湿しなくてもいいんじゃない?」

と思われる方もみえるのですが

このように、

結露は空気が抱えられる水蒸気量の

差によっておこるわけなので、

外気温と室温の差によって

窓ガラスが結露していたとしても

室内の湿度は、

快適に過ごせる温度に適した湿度

(20℃で40~60%)に

達していない場合もあります。

 

ですので、

室内の温度・湿度は、必ず

温湿度計などを用いて数値として

客観的に確認してみてください。

 

室温20℃で

湿度が40~60%というと

1㎥に含まれる水蒸気量は

6.88~10.32g程度ということになりますね。

 

気温が5℃ の時、飽和水蒸気量は6.79g/㎥

気温が10℃の時、飽和水蒸気量は9.39g/㎥

 

ということは、実は温度が5℃~10℃で

結露してしまうということになります。

 

つまり、外気と触れて結露が目に見える窓だけでなく

目に見えない壁の中でも起こりうるのです。

 

壁体内結露は構造体にも悪影響をもたらします。

こうした理由からも、新築住宅を建てる際には

壁体内に水蒸気が入らない工夫が必要となるのです。

 

 

さて。

近年建てられる住宅では、複層ガラスが普及していますが

築年数の経った断熱性の低い住宅は

まだまだ単板ガラスである場合も多いのではないでしょうか。

 

単板ガラスは読んで字のごとく、

単(一つの)板のガラスです。

室温と外気温に一枚のガラスが触れています。

ガラス表面から熱が急激に奪われるため

結露しやすいということになります。

 

それに対して、複層ガラスは

従来の単板ガラス2枚と

乾燥空気が入った中空層によって

構成されています。

 

中空層にアルゴンガスや真空層が

含まれる複層ガラスは

断熱効果があり

結露しにくいという特徴があります。

 

さらにLow-e膜と呼ばれる特殊な金属膜が

貼られている複層ガラスがあります。

外側に貼れば外の日差しや紫外線の侵入を防ぐので

夏場の室温の上昇を防いだり、

室内側に貼れば熱が逃げにくくなるので

冬場の断熱性能をさらに高めたりします。

 

また複層ガラスのサッシ部分も

アルミだったり、

樹脂だったり、

アルミと樹脂の複合だったりします。

 

もちろん、単板ガラスよりも

複層ガラスの方が結露しにくいわけですし、

アルミサッシより、樹脂サッシの方が

結露しにくいわけですが、

樹脂はアルミに比べると耐久性が劣るとも

言われているので、

紫外線劣化を受けやすい外部はアルミにして

温度が伝わる内部は樹脂にした

複合サッシも人気があります。

 

結露「しにくい」と表記しました。

そうです。

結露「しない」わけではないのです。

 

よく、「複層ガラスなら結露しないんでしょ?」と

言われる方もいらっしゃいますが、

結露は温度の差による

「飽和水蒸気量」の違いによっておこるので

複層ガラスでも結露しているような場合は

室内の温度と湿度を一度ご確認ください。

 

もしかしたら、快適に過ごせる温度に

適した湿度以上の

たくさんの湿気があるのかもしれません。

計画的な換気が実施されているか

是非確認してみてください。

 

快適に過ごすためには冬は室温20℃で

湿度40~60%が保てる環境が理想ですが、

これから新築住宅を建てる方は

正しい知識があれば

壁体内結露や目に見える結露と

戦うこともなく、ストレスなく

この室内環境を保つことが可能です。

 

現在、断熱性能や気密性能が高くない家に

お住まいで、冬の結露でお悩みの方は

なぜ結露しているのか?を考えた上での

対策を心がけていただければと思います。

 

結露は放っておくとカビの原因にもなります。

カビを吸い込むことによりアレルギーや

呼吸器系の疾患の要因になってしまったりもします。

単板ガラスで、結露が発生しやすい場合は

こまめに拭き取るようにしてくださいね。

 

壁体内に断熱材を入れるような

大がかりな断熱リフォームはちょっとハードルが

高いかと思いますが、

単板ガラスに、内窓をつけるだけでも

何もしないのと比べると

断熱効果はバツグンです。

 

もっと手軽にできることといえば、

単板ガラスに梱包用のぷちぷちを貼ったりするのも

効果的だったりもするのですが、

ちょっと見た目が・・・微妙・・・という方は

結露防止フィルムというようなものも

市販されているようですよ。

 

様々な要因から起こる結露ですが、

結露している=家からのメッセージ

と、とらえていただいて

室内環境を確認するキッカケにしていただければと

思います。

 

では、また。

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