建て替えは60歳以上が多数?30年後も暮らしやすい間取りと家づくりの考え方
2026.10.30
建て替えは60歳以上が多数?30年後も暮らしやすい間取りと家づくりの考え方
こんにちは。三協建設株式会社の堀内裕輔です。
家を建てるとき、30年後の暮らしまで想像したことはありますか?
家づくりというと、30代・40代の子育て世代をイメージする方も多いかもしれません。
でも実は、家を建て替えているのは、若い世代ばかりではありません。
国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅を建て替えた世帯のうち、世帯主が60歳以上の割合は59.1%。
つまり、建て替えをした世帯の約6割は、世帯主が60歳以上という結果でした。
さらに、翌年の令和7年度調査では66.7%となっています。
※出典:国土交通省「令和6年度・令和7年度住宅市場動向調査報告書」
全国の注文住宅(建て替え)取得世帯における世帯主の年齢構成です。
すべての住宅取得者に占める割合ではありません。
この数字を見ると、家づくりは子育て世代だけの話ではないことが分かります。
そして、これから家を建てる30代・40代の方にも、少し考えてみてほしいことがあります。
30年後、自分たちは今の家で、どんな暮らしをしているでしょうか。
今回は、建て替えを考える人の年齢から、長く暮らしやすい家の間取りについて考えてみたいと思います。
CONTENTS
50代・60代になると、住まいの悩みも変わってくる
50代・60代の方から、こんなご相談をいただくことがあります。
「子どもが巣立って、夫婦二人には家が広すぎる」
「築30年、40年になって、これからの修繕費が心配」
「マンションの住宅ローンは終わったけれど、管理費や修繕積立金の負担が大きい」
「これから夫婦二人で暮らせる、小さな家に住み替えたい」
住まいを見直したい理由は、ご家庭によってさまざまです。
建物が古くなってきたことがきっかけになる方もいれば、家族構成や暮らし方が変わったことがきっかけになる方もいます。
でも、ここで少し考えてみてほしいことがあります。
今、60代で建て替えや住み替えを考えている方たちは、30代で最初の家を建てたとき、
「30年後に、もう一度家を建てよう」
と思っていたのでしょうか。
おそらく、多くの方はそこまで考えていなかったのではないでしょうか。
そのときは、家族で長く暮らしていくつもりで建てた家だったと思います。
それでも、30年という時間の中で、暮らしは大きく変わっていきます。
30年経つと、家族の暮らしはこんなに変わる
例えば、30歳のご夫婦が家を建てたとします。
お子さんは2歳と0歳。
家づくりを考えているときは、子育て中の暮らしが中心になります。
広いLDKが欲しい
子ども部屋は2部屋必要
家事がラクになる動線にしたい
家族みんなの収納も欲しい
もちろん、どれも大切です。
でも、30年後はどうでしょうか。
ご夫婦は60歳。
お子さんは32歳と30歳です。
子どもたちは独立して、それぞれの暮らしを始めているかもしれません。
家族4人で暮らすためにつくった家が、夫婦二人で暮らす家になっている可能性があります。
2階につくった子ども部屋も、普段はほとんど使わなくなっているかもしれません。
さらに、自分たちも年齢を重ねていきます。
若い頃には気にならなかった階段の上り下りが、少しずつ負担になることもあります。
「1階に寝室があればよかった」
「2階にこんなに部屋は必要なかったかもしれない」
「もう少しコンパクトな家でもよかったかな」
そんなふうに、住まいに求めるものが変わってくることも考えられます。
家は同じでも、そこで暮らす家族のかたちは変わっていくんです。
30年後、もう一度家を建て替えるとしたら?
ここで、もうひとつ考えてみたいことがあります。
30年後、今の家が暮らしに合わなくなったとき、もう一度何千万円もかけて建て替えることができるでしょうか。
もちろん、建て替えや住み替えによって、新しい暮らしを始めることが合っているご家庭もあります。
それ自体が悪いことではありません。
ただ、60代になると、30代の頃とはお金の状況も変わっているかもしれません。
子どもの教育費がひと段落している一方で、老後の生活資金を考える時期にもなります。
働き方や収入が変わることもあります。
そのタイミングで、もう一度大きな住宅費用が必要になるとしたら、家計への影響も考えなければいけません。
だからこそ、これから家を建てる方には、最初からその先の暮らしまで考えてみてほしいと思っています。
30年後の暮らしを、すべて正確に予測することはできません。
でも、暮らしが変わることを前提に、家を考えておくことはできます。
それが、長く暮らしやすい間取りを考えるうえで大切な視点だと思います。
30年後も困りにくい間取り、3つのポイント
では、将来の建て替えや大きなリフォームの必要性を減らすために、どんなことを考えておけばいいのでしょうか。
僕が大切だと思っているのは、次の3つです。
① 子どもが巣立ったあとも、広さを持て余さない
子育て中は、どうしても子ども部屋の数や広さが気になります。
子どもが2人いるから、子ども部屋も2部屋。
勉強机とベッドを置いて、収納もつくって。
もちろん、子どもが成長すれば、自分の部屋が必要になる時期もあります。
でも、その部屋を何年間使うのかまで考えたことはあるでしょうか。
家に50年、60年と住むとしたら、子ども部屋として本格的に使う期間は、そのうちの一部分かもしれません。
だから、最初から部屋の使い方を固定しすぎないことも大切です。
子どもが小さい頃は、家族で広く使う。
成長したら、それぞれの部屋として使う。
独立したら、趣味や仕事、収納など、必要に応じて用途を変える。
こうした考え方もあります。
大切なのは、今必要な部屋をつくることだけではありません。
将来、使わなくなったときにどうするか。
そこまで考えておくことで、家の広さや間取りの見え方が変わってくると思います。
② 年齢を重ねたら、1階だけでも生活できる
もうひとつ大切なのが、歳を重ねたときの暮らしです。
若い頃は、階段の上り下りを負担に感じることは少ないと思います。
でも、70代、80代になったときも、同じように階段を使って生活できるとは限りません。
そのときに、
食事をする
お風呂に入る
洗濯をする
着替える
寝る
こうした日常生活が1階で完結できたらどうでしょうか。
将来、1階に寝室を増築する必要を減らせるかもしれません。
もちろん、最初からすべての部屋を1階につくる必要はありません。
大切なのは、将来、生活の中心を1階に置けるかどうかです。
これは、平屋だけでなく、二階建ての家でも考えられることです。
③ 大きなリフォームをしなくても、暮らし方を変えられる
家族構成が変わるたびに、壁を壊したり、部屋を増やしたりする必要があったらどうでしょうか。
もちろん、必要なリフォームはあります。
ただ、最初から暮らしの変化を考えておくことで、間取りを大きく変えなくても使い方を調整できる可能性があります。
例えば、子ども部屋を将来仕切れるようにする。
収納を最初からつくり込みすぎず、必要に応じて置き型収納を加える。
子どもが独立した後は、使わなくなった部屋を別の用途に使う。
1階で生活ができるように、寝室や水まわりの配置を考えておく。
こうしたことです。
すべての変化に対応できる家をつくるのは難しいと思います。
でも、将来の選択肢を残しておくことはできます。
家を建てた瞬間に、すべての使い方を完成させすぎない。
これも、長く暮らしやすい家を考えるひとつの方法だと思っています。
家が60年長持ちすれば、それでいい?
今は、断熱性能や耐震性能など、住宅の性能を高めるための技術が進んでいます。
長く快適に暮らせる性能を備えた家をつくることは、とても大切です。
ただ、ここで考えてみてほしいことがあります。
仮に、建物そのものを60年使えるように考えて建てたとしても、30年後に間取りが暮らしに合わなくなっていたらどうでしょうか。
2階を使わなくなる。
階段が負担になる。
夫婦二人には部屋が多すぎる。
寝室を1階に移したいけれど、場所がない。
そんな状態になったとき、住みにくさを我慢するのか、大きなリフォームをするのか、あるいは住み替えるのか。
もう一度、家について考えることになるかもしれません。
もちろん、住み替えや建て替えには、建物の老朽化や立地、家族の事情など、さまざまな理由があります。
間取りだけで、すべての問題を解決できるわけではありません。
それでも、建物が長く使えることと、長く暮らしやすいことは、必ずしも同じではないと思います。
断熱性能も大切。
耐震性能も大切。
そして、50年、60年と暮らしていくなら、
暮らしの変化に対応できる間取りも、同じくらい大切です。
平屋じゃなくても、将来を考えた家づくりはできる
長く暮らしやすい間取りを考えると、
「やっぱり平屋がいいのかな?」
と思う方もいるかもしれません。
確かに、平屋は階段のない暮らしができるという点で、将来の生活を考えやすい住まい方です。
ただ、すべてのご家庭が平屋にできるわけではありません。
土地の広さや形状、建ぺい率などの法規制によって、必要な部屋をすべて1階に配置することが難しい場合もあります。
そんなときに考えたいのが、「ほぼ平屋」という住まい方です。
例えば、LDKや水まわり、主寝室など、日常生活に必要な場所を1階にまとめる。
そして、子ども部屋などを2階に配置する。
こうすることで、子育て中は2階も使いながら、将来は1階を中心とした生活に移行しやすくなります。
もちろん、主寝室を2階に配置した方が、敷地条件や家族の暮らし方に合う場合もあります。
大切なのは、平屋か二階建てかという形だけで決めないことです。
自分たちが、これからどんな暮らしをしていきたいのか。
そして、歳を重ねたときに、どう暮らしていたいのか。
そこから間取りを考えていくことが大切だと思います。
家づくりは、建てるときのお金だけではない
今回の話は、間取りだけの問題ではありません。
お金のことにもつながっています。
家づくりでは、土地代や建物代、住宅ローンの返済額など、建てるときのお金に目が向きやすくなります。
でも、家は建てた後も長く住み続けるものです。
住宅設備の交換
外壁や屋根のメンテナンス
将来の修繕費
こうした費用は、長く住むうえで考えておきたいお金です。
一方で、間取りが暮らしに合わなくなったことで必要になる大きなリフォームや増築は、最初の設計によって減らせる可能性があります。
もちろん、将来のリフォームを完全になくせるわけではありません。
それでも、最初から30年後の暮らしを考えておくことは、将来の住まいにかかるお金を考えることにもつながります。
家づくりで大切なのは、今の予算の中で建てられるかどうかだけではありません。
その家で、これからどんな暮らしを続けていけるのか。
そして、その暮らしに必要なお金を、無理なく準備していけるのか。
ここまで考えておきたいですね。
「今の家族にちょうどいい家」ではなく、「人生にちょうどいい家」を
家を建てるとき、どうしても今の家族に合わせて間取りを考えます。
それは、決して間違いではありません。
でも、今の暮らしはずっと続くわけではありません。
10年後には、子どもが成長しているかもしれません。
20年後には、子どもが独立しているかもしれません。
30年後には、夫婦二人で暮らしているかもしれません。
そして、その先も家での暮らしは続いていきます。
だからこそ、今の家族にちょうどいいだけではなく、その先の人生にも合う家を考えてみる。
30年後にどんな毎日を過ごしていたいか。
どの部屋を使っているか。
誰と、どんな時間を過ごしているか。
そんなことを少し想像してみるだけでも、家づくりの考え方は変わってくると思います。
まとめ|30年後の暮らしまで考える家づくり
国土交通省の調査を見ると、住宅の建て替えは60歳以上の世帯主が多いことが分かります。
建て替えや住み替えを考える理由はさまざまです。
建物の老朽化もあれば、家族構成や暮らし方の変化もあります。
そして、これから家を建てる30代・40代の方も、30年後には暮らしが大きく変わっている可能性があります。
だからこそ、家づくりでは、
・子どもが巣立った後も、広さを持て余さないか
・歳を重ねたときに、1階だけでも生活できるか
・大きなリフォームをしなくても、暮らし方を変えていけるか
こうした視点を持っておくことが大切です。
家の断熱性能や耐震性能を高めることは、もちろん大切です。
でも、建物が長く使えることと、長く暮らしやすいことは、必ずしも同じではありません。
「今の家族にちょうどいい家」ではなく、「人生にちょうどいい家」を。
今だけではなく、その先の暮らしまで想像してみる。
それが、長く納得して暮らせる家づくりにつながっていくと思います。
これからの暮らしとお金を、一緒に考えてみませんか?
家づくりでは、今欲しい間取りや設備に目が向きやすいものです。
でも、本当に大切なのは、その家でこれからどんな毎日を過ごしていくかということ。
そして、その暮らしを無理なく続けていけるお金の計画を考えることです。
くらしとおかねの学びばでは、家づくりの前に、家族のこれからの暮らしとお金を一緒に整理しています。
「将来も暮らしやすい間取りを考えたい」
「平屋と二階建て、どちらが自分たちに合っているか分からない」
「住宅ローンだけでなく、老後の暮らしまで考えて家づくりをしたい」
そんな方は、まずこれからの暮らしを整理するところから始めてみませんか。
くらしとおかねの学びば
代表:堀内裕輔
運営:三協建設株式会社
出典
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国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(38ページ・世帯主の年齢)
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国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査報告書」(39ページ・世帯主の年齢)
よくある質問
Q. 建て替えをする人は60歳以上が多いのですか?
国土交通省の「住宅市場動向調査」では、注文住宅を建て替えた世帯のうち、世帯主が60歳以上の割合は令和6年度調査で59.1%、令和7年度調査で66.7%でした。
ただし、これは調査対象の建て替え世帯についての結果であり、すべての住宅取得者に当てはまる割合ではありません。
Q. 30年後も暮らしやすい間取りにするには、何が大切ですか?
子どもの独立や夫婦二人の暮らし、老後の生活を想像しておくことが大切です。
1階で生活が完結することや、部屋の使い方を将来変更しやすいことなどが、長く暮らしやすい間取りを考えるポイントになります。
Q. 老後を考えるなら、平屋にした方がいいですか?
平屋は階段のない暮らしができるというメリットがありますが、必ずしも平屋が正解とは限りません。
敷地条件や暮らし方によっては、日常生活に必要な場所を1階にまとめた「ほぼ平屋」などの二階建ても選択肢になります。
Q. 将来、建て替えやリフォームをしなくていい家はつくれますか?
将来の建て替えやリフォームを完全になくすことは難しいですが、暮らしの変化を見据えて間取りを考えることで、大きな間取り変更や増築の必要性を減らせる可能性があります。
設備交換や建物の定期的なメンテナンスは別に考えておく必要があります。
Q. 子ども部屋は、将来使わなくなることも考えた方がいいですか?
はい。
子ども部屋を本格的に使う時期は、長い暮らしの中では限られる場合があります。
子どもが独立した後に趣味や仕事など別の用途でも使えるように、広さや収納、部屋の配置を考えておく方法があります。
Q. 家づくりでは、将来の住み替え費用や修繕費まで考える必要がありますか?
住宅ローンだけでなく、設備交換やメンテナンス費など、建てた後に必要なお金も計画に入れておくことが大切です。
将来、住み替えや大規模なリフォームが必要になった場合の選択肢も考えておくと、家計全体を見据えた家づくりにつながります。




